つながり、つむぎ合う、すばらしい人生のために

私達の思いを語るには、ピース代表である私の経験から入るのがよかろうと考えまして、あえて個人的体験から述べさせていただこうと思います。

じーちゃんが教えてくれた僕たちの使命

僕は、令和2年8月26日に、祖父を自宅で看取りました。
僕の祖父、じーちゃんは、約8年ほど前から認知症と診断され、自宅での介護生活が始まりました。
はじめは、物忘れがひどくなり、何度も同じ話をすることが多くなっていきました。
さらに、症状が進むと、怒りっぽくなり、毎日、部屋中怒鳴り声が響いていました。


僕にとって、自慢のじーちゃんが、次第に変わっていく姿を見るのは、本当に辛かったです。
家族一丸となって精一杯介護をしましたが、もう限界でした。
家族も余裕がなくなり、笑えない日々を過ごしていました。


それから一年が過ぎたときに、事態が急変します。
いつもと変わらずに食事をしていた時、じーちゃんが急に血を吐いて倒れてしまいました。
慌てて救急車を呼んで、緊急入院。
急いで病室に行くと、昨日まで歩いていたはずのじーちゃんが、今はベッドで寝たきりです。
いつもなら優しく声をかけてくれたはずなのに、喋ることもできないじいちゃんを見ると、悲しくなり、涙がこぼれました。


「せめて、住み慣れた家に連れて行ってあげたい。でも、今の状態では無理だろうな。」と、諦めていました。
そんな時、僕の勤め先だった診療所の緩和ケアチームが、「自宅に退院するなら応援するよ。」と声をかけてくださり、僕の背中を押してくれました。
その言葉を聞いて、すぐに退院を決意し、家に帰ってきました。


家に帰ってきたじーちゃんを見て、「やった!自宅に帰って来れた!」と喜んでいましたが、病状は不安定なままで、安心はできません。
数日後、肺炎になってしまいました。
いつもなら再入院ですが、今回は主治医の先生と、訪問介護、うちの母(看護師)の連携により、自宅で充実した治療を受け、回復することができました。


自宅での介護も大変でしたが、訪問介護、訪問入浴により、家族の負担も少なく、快適な生活を送ることができました。
在宅ケアの大きな可能性と未来を強く感じさせられた瞬間でした。


そして、8月7日はおじいちゃんの89歳の誕生日です。
まさか、誕生日を家でお祝いできるとは思いもしませんでした。
上の写真は、その時のものです。
家族総勢17名が集まり、賑やかにお祝いをしました。
こんな賑やかな家族を築きあげたじーちゃんは僕の自慢です。
それから数日後、たくさんの家族に見守られながら、穏やかに旅立ちました。


振り返ると、じーちゃんは、僕たちに在宅ケアの素晴らしさを身をもって教えてくれたんだと思います。
この在宅ケアの感動と暖かさを、今度は、僕たちが広めていく番だと感じ、ピース訪問介護ステーションを開設しました。
じーちゃんに地域のお役にたつことを約束し、僕たちの使命として活動していきます。

ピース訪問看護ステーション 

阿部 太哉

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